早々とクリスマス・モードに入っているのはご愛嬌ということで。2フィートばかりのツリーを飾って電飾しております。
そういえばこの冬は「クリスマス・キャロル」の新作映画が公開されるとか。原作をさんざん読み、映画も何種類観たでしょうか、一番のお気に入りはアルバート・フィニーが演じた『スクルージ』です。脇をしめる面々がしぶいしぶい。もうああいう映画は時代的に難しいのでしょうねえ、と。
クレアが手にするプレゼントはいまだ空箱です。このところミニチュア方面の出物がなく、端境期に入ってしまい抜け出せません。中世の彩色手稿とか、素敵なんですけど。
今年はライダー版タロット100周年ということで、いろいろなところから記念版タロットが発売されています。
クレアにもなにかと思ったのですが、さすがにドールサイズは作っていただけないようです。
そこで中身はライダーそのものという「世界最小塔羅牌」 World's Tiniest Tarot を持ち出してみました。1960年前後から出回っている土産物系タロットで、香港で印刷されていたようですが詳細はわかりません。
ごらんのようにドールサイズ、ドールハウスの小物にぴったり。これ以外に実用的な用途があるとも思えません。あるとすれば、精霊召喚用の小神殿に納めて、精霊の玩具というかおもちゃに使ってもらうというパターンでしょう。
もっとも、このタロットもクレアのために購入してクレアの書斎に納めているのですから、精霊の玩具と小神殿の関係に似ていなくないような。
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「世界最小塔羅牌」。背模様は赤に不思議なドットパターンが散らしてあります。
面白いのは、カードの下空欄にカードの意味が記してある点でしょう。いろいろ書いてありますが、ここにある言葉がなにを出典としているのか判明しません。時代からいって偉特の塔羅牌図説的鍵(こういう表記になるのです)が第一候補なのですが、つき合わせてみるとぜんぜんちがいます。
ひまがあれば調べ上げてみたいものです。
世界最小をうたっておりますが、サイズ的には現行のユニヴァーサル・ウェイト・タイニーとほぼ一緒。ずっと前に紹介したタロット・ノヴァのほうが格段に小さいです。
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タロットもリーディングなら、書物もリーディングです。
本棚に背をあずけて一節二節を拾い読みし、ちょっと考え込むクレア。手にしているのはあいかわらずヒルサイドのブレイクの予言集。はたして未来は聖書に記されたとおりに進むのでしょうか。
They began to weave curtains of darkness.
They erected large pillars round the Void,
With golden hooks fasten'd in the pillars;
With infinite labor the Eternals
A woof wove, and called it Science"
ものはといいますと、大小が入れ子になった小物入れです。小さいほうがちょうどクレアサイズなので取り寄せてみました。なかなか雰囲気はようございます。
ほんとはルビーと真珠と龍涎香、スペイン金貨に宝飾装丁詩集といきたいところですが、ここはリアリティーを重視いたしましょう。こういう宝箱というか古ぼけたトランクはたいてい屋根裏部屋でホコリをかぶっていて、なんかのきっかけで主人公がそれを開けてしまう。なかからでてくるものは古代の魔道書とか、謎の遺言状とか。
クレアのタロットカードもこれといった種類が増えぬまま今日に至ってしまいました。ミニ・ソプラフィノでも買い与えようとかと思いますが、いざとなると億劫でいけません。
などと書いているうちにメイスフィールドの Box of Delights を思いだしてしまいました。あの物語はどことなくハリポタ・シリーズを思わせます。きっと影響を与えているのでしょう。(世間ではハリポタの原型をトム・ブラウンシリーズに求めているようですけれど、むしろキプリングのストーキー&カンパニーではないか、と思います。余談ですけれど)
もう少し、クレアの書斎の整備を続けたく。
先般、ランニング・プレスのミニチュア本が10時間以内発送でごろごろしているのを発見。しかも一冊575円で、テーマもなかなかクレア向き、ということで四冊ばかし届きました。
The Book of Genesis
The Mini Book of Saints
The Gift of Angels
The Quotable Oscar Wilde
上三冊は聖書、聖人伝、天使の言葉と、この方面がビクトリア朝からほとんど変化がないことがわかります。四冊目のワイルド引用集も、××バースデイ・ブックの王道でしょう。
クレアが抱いている聖人伝はやはり最近の出版物らしく、最近列聖された聖人も収録されています。写真でお姿を拝める聖人というのもなかなか違和感がございますが。もちろん美麗な聖人画もたくさん載っています。このサイズの書物は別名をベストポケット、ベストのポケットに収めておいて暇のまにまにちらりと眺めるのが作法とされています。
with the sufferings of a friend:
it requires a very fine nature
to sympathize with a frined's success."
友人の苦難に共感するのは易しい。
友人の成功に共感するのはきわめて
素晴らしい資質を必要とする。
"Experience is the name
we all give to our mistakes"
経験とはわれら全員が失敗に与える名前である。
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ワイルドの台詞は覚えておいて損はないような。
そんなこんなでクレア・サーペンタインの書物は増えていくのでありました。
ではお出かけとばかりに袖を通しているクレアですが、どこに行くかはまだ未定。チャリングクロス街に本を買いにゆかせましょうか、ケンジントン・ガーデンでお散歩させましょうか。
実をいいますとこのコート、クレアのサイズにぴったりなのが玉に瑕。女子がトレンチをまとう際はワンサイズ、ツーサイズ大きいのをはおるのがお約束。それもかなりくたびれたヨレヨレのやつを。
英国的服飾カルチャーでいいますと、女子が着るトレンチコートは先の大戦で戦死した恋人の遺品という設定になるのです。ですからワンサイズ、ツーサイズ大きくなって、あちこちたくしこむ感じになります。ベルトは一番絞った穴を使ってもだぶだぶなので、帯みたいに結んでしまう。戦場でついてしまった泥汚れは少々洗っても落ちません。
1920年代、こういったトレンチをまとった、どこか悲しげな女性たちが街を歩いていきます。戦死した恋人の思い出とともに一人生きていこうと決意して、電話交換台のオペレーターやタイピストといった職業に就いてがんばります。無論、彼女たちに新しい恋が訪れないわけではありません。しかしその相手は往々にして、トレンチを届けてくれた人物、すなわち戦死した恋人の戦友だったりします。
かれは亡き戦友の恋人のことを心配し、様子を見たり相談に乗ってやったりするうちに、彼女のことを好きになってしまいます。だけど、戦友の恋人においそれと手を出すわけにはいきません。もちろん彼女もかれの気持ちに気づいていますし、心憎からず思っていますけど、日毎に理想化されていく死せる恋人を忘れることもできない。結論は出ないままずるずると歳月だけが流れていきます。
ついには二人を引き合わせた遺品のトレンチコートが、二人の恋の障害を象徴する品になってしまいます。彼女がトレンチを羽織っているかぎり、死んだ恋人がそばにいるのも同然なのです。ついに男は、いつまでそれを着ているつもりだ?と口にしてしまいます。女は、ほっといてよ、と答え、やがて一言、「…意気地なし」とつぶやくのでした。
現代に至っても、新品のトレンチを着ていると「お前はやる気があるのか」「参加せんか」と教育的指導がなされるわけです。とりあえず一度土に埋めたり泥水につけたりして雰囲気をつけなければなりません。素材はギャバジンのみ。シルクなど戦場ではありえませんので。
クレアの場合は「戦死した恋人の遺品」というわけにはまいりません。ゴールデンアフタヌーン魔法学寮の指定コートということで。ちょっと袖口が狭く、手首周りのベルトも邪魔になっています。若干ハサミを入れる必要がありそうですが、これは慎重に検討してから。慌ててやると100パーセント失敗しそうです。
こうなるとよそゆきクレアのために帽子と手袋が欲しくなります。帽子はともかく、手袋が難物でしょう。あの指の開き具合を考えると、ちょっと無理でしょうか。とはいえレディーたるもの手袋なしで外出するなど許されることではありません。無い知恵を絞ってみたく思います。
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彼女の書斎を創りつつ物語が進みます。